自殺対応マニュアル
いきなり物騒ですが、今回は自殺の話です。
ツイッターのTLで突然自殺を示唆された、とか、自殺未遂をして失敗したとカミングアウトされた、という事態は誰にでも起こりうること。
交通事故を目撃したときの対処を運転免許取得で習うのと同じように、自殺を目撃したときの対応も整理しておきましょう。
自殺を無理の止めることで、恨まれるかもしれませんし、自殺を止めることが本当に倫理的に良いことなのかは誰にも正解のわからない問いです。
人それぞれ事情はありますし、死にたいほど苦しい事情がある人は、死ぬまでその事情を向き合って闘い続けなければならないことは確かです。
それでも助けるべきだ、と思った場合にどうしたらいいのか、をまとめていきます。
私の知っている限りの話でしかないので、より詳しい人がいたら是非教えてください。
0. 心構え
まず、一番に大切なことは、高度なメンタルケアは専門の医療従事者の仕事だ、ということです。
素人がむやみに手を出して、過去のカミングアウトをさせて、パニックを起こしても仕方がないですし、責任を感じて連鎖的にうつを発症したらミイラ取りがミイラというもの。
友人、家族、パートナー、いずれの関係においても、自分に無理なくできることだけをして、そこから先は医療従事者にパスしましょう。
1. 日頃からできること
大切な人の氏名と住所を確認しておきましょう。
後述する警察の助けを借りる場合にも必要ですし、病気やうつで動けなくなったときに看病しに行くにも必要な情報です。
聞き方は、率直にいざというときに助けるために知っておきたい、と聞いてもいいですし、
それが聞きにくかったら、家に遊びに行くとか、年賀状、プレゼント、お土産を送るとかを口実にしましょう。
それでも教えてもらえない場合は、そこまでの繋がりしか許してもらえなかったのだから、仕方がありません、許される範囲でできることをしましょう。
電話番号、生年月日、肩書等の情報もあればより良いですが、住所に比べると重要度は2ランクぐらい劣ります。
2. 自殺の計画をしていることを知ったとき
あるいは、しているのではないか、と疑ったときも同様です。
医療機関への受診を薦めましょう。
なんなら、「自分が心配だからお願いだから行ってくれ」と無理矢理連れて行ってもいいです。
一人で行くのが不安そうなようであれば、一緒に行ってあげてもいいでしょう。
まともな機関なら、本人の希望あっての付き添いは拒まないはずです。
残念ながら、精神医療系の先生はかなりピンキリで、中には患者をより追い詰めるような先生もいます。
連れて行く医療機関は慎重に選び、連れて行った後も先生との相性はいいか、先生に不満を持っていないか気にかけてあげるといいです。
選び方は後述します。
3. 自殺を示唆されたとき
つまりは「今から死んできます」と言われたときです。
この段階では、相手の気持ちの尊重とかは二の次で、とにかく力づくでも実行を阻止し、命を救うことを考えます。
AEDの使用に当たって、相手の服を脱がすことは問題にならないのと同じです。
力づくで阻止することに関しては、警察が専門のようです。
110で通報し、相手の氏名、住所、わかっている場合は予告された自殺場所を報告します。
私の時は、30分後ぐらいに近くの交番の警察官が事情聴取に来て、2時間ぐらい話しました。
大事な予定があったり、面倒だと感じるようなら、他の人に通報を任せた方がいいでしょう。
2時間ぐらいなんだ、命に比べれば安いもの、と思えるなら通報してください。
4. 未遂に終わった後
変に感傷的になって「心配したんだから」等と責めるよりは、少し淡白すぎるぐらいが本人も楽なのではないかと思います。
自殺に関して声をかけるなら、「生きていてよかった」程度で、あまり長々と言及しない方がいいでしょう。
医療機関に通っていない場合は、通わせましょう。
通っていて、当人が医療機関を信頼しているようなら、メンタルケアはそこに任せましょう。
もし、先生と当人の間に不和があるようなら、相談に乗り、場合によっては転院の検討を一緒にしてあげるといいかと思います。
おまけ:医療機関の選び方
まず、大別して医者とカウンセラーはまったく異なるものです。
医者は、病名の診断をし、必要に応じて薬処方やカウンセリングなどの指示をする人。
カウンセラーが実際にカウンセリングをしてくれる人です。
精神科や心療内科が精神病を診てくれます。
精神科と心療内科は、基本的に医者がいる場所ですが、カウンセラーもいる場合も多いです。
医者に診てもらったあと、医者の指示があれば、カウンセラーのカウンセリングを受けるという形になります。
学校や会社にある相談室、民間のカウンセリング機関などのカウンセリング機関は、基本的にカウンセラーしかいません。
一概にカウンセリングよりまず診療を受けるべきかというと、そうとも言えません。
カウンセラーは本人が困っていて助けを求めていれば必ず相手にしてくれますが、医者は既存の病気のパターンに当てはまらない症状の対処をすることは基本的にできません。
本人が抱えている辛さが、はたから見てわかりにくいものであったり、本人があまり自分の精神的な状況を自覚していなくて説明できない場合などは、お医者さんのところに行ってもうまく噛み合わない場合があります。
そういった場合は、まずカウンセリングに行って、カウンセラーに「これはこういう病気かもね」「医者にかかるならこう説明するといいよ」「あなたの気持ちはこうだったんだね」などアドバイスをもらってから医者にかかるといいでしょう。
カウンセラーの良し悪しですが、究極的には相性もあるので、かかってみて本人が安心、信頼できると感じるかどうかでしか判別のしようがありません。
かかりはじめる前に判断の材料になる情報があるとすれば、
- 信頼できる医師の紹介である
- 資格がある
の二点です。
はじめて医療機関にかかる場合には前者の紹介はないでしょう。
資格については、今のところ「臨床心理士」が一番信用できる資格のようです。
生きている方が死ぬより辛い、なんて状況はなくなってほしいものですね。