コンパクトでない空間

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就活が苦手な人でもできる就活

私の周りには「就活とかムリ。だけど起業ってほどリスキーなことする覚悟もない」という人が結構いる。
彼らの言い分は、「自分は就職とか柄じゃない」「仕事のために生きるとか無理」「働きたくない」といった調子。
まず最初に、誤解しないでほしいのが、別に私は彼らを怠け者だと思っているわけではない。
むしろそれは怠けるとかではなくて単純に「就活が苦手」と、誰にでもある得意不得意のうちのひとつとして数えられるのが適切ではないだろうか。

就活というものは、経団連が定めたスケジュールを基準に、就活準備から内定までのスケジュールのモデルが存在して、そのみんなと同じスケジュールに従って、準備し、みんなと同じスーツを着て、少しの隙もなく模範解答の応対をする。
就活が苦手な人たちが苦手な「就活」というのは多分、こういう、みんなから、社会の規範から一歩外れたら出遅れて想像もつかない見るも無残な目にあわされるような、恐ろしいものなのだろう。
実際そういうハードな就活をしている人たちというのは結構みかける。
企業が判断する側、自分が判断される側、の構図に完全にはまりきって、自分より圧倒的に偉い企業の機嫌を取るために、様々なうわさに翻弄される。
企業側も「私らはこういう基準で学生を見ています。やっぱりこういう人はいいですよね」といった調子で、自分が判断する側で立場が強い側だという自覚を持った振る舞いをしてくるのだからたちが悪い。

あれはあれで、ガイドラインがないと困るって人たちにとっては助かるものなんだろう。
とりあえずみんなについていけてさえいればなんとかなる。
自分で判断する必要がない。
そういうことを魅力だと、楽だと感じる人たちというのはいて、そういう人たちが迷える子羊にならないようにあのシステムがあるのだと思う。

就活は本来もっと自由度が高く、幅の広い概念であるはずだ。
要は企業と出会いさえすればいいのだ。
型にはまった就活は単なる集団お見合いだ。
別にお見合いをせずとも自由恋愛で自分のパートナーを見つければそれでいい。
ただ、お見合い以外にどうやってパートナーを見つけたらいいのかがわからないから、就活が苦手な人たちは困っているんだと思う。
「セロリが苦手な人でも食べやすいセロリ料理」はググれば出てくるが「普通の就活が苦手な人でもしやすい就活」の情報はググってもそうは出てこない。
就活に苦手意識を持って目を背け、情報の収集を怠っていたらなおさら届かない。

お見合いを介さずに企業と出会うことは、一般には「コネを作る」と呼ばれている。
コネクション。

コネを作るなんてずるい、とかいう人もいるけど、コネの威力というのは馬鹿にしてはいけない。
直接結果に見えやすく繋がるわけではないから、「ホンネとタテマエ」の使い分けが苦手なASDや将来の見通しを立てるのが苦手なADHDほど軽視してしまいがちだけど、コネは気づかないところで少しずつ効いてくる。
お得な話を手に入れたときに教えてもらえたり、コネが次のコネを呼んだりして、二乗三乗に効いてくる。
自分独自の情報網ネットワークという資産になる。

というかそもそも就活というのが、人材と企業がコネクションを作るためのイベントなのに、なぜ就活で作ったコネクションはコネと呼ばれないのかよくわからない。
いや、実際あれを広い意味でコネと呼んでも差支えない気がする。

既にコネがあるならそれを使わない手はない。
よっぽど「これは自分の希望とは違うな」という確信がある企業とかでなければ、片っ端から知り合いに「会社見学させてもらうことってできますか?」と言ってみよう。
知り合いというのは、趣味で知り合った人、twitterで知り合った人、サークルのOB、親の友達などなどだ。

あとはコネを増やす方法だけど、露骨なお膳立てとかは別にしなくていい。
コネを増やすために心がけるべきことはみっつだと思っている。

  • 人を紹介しようか、と言われたら、単位や病気にかかわらない限り他のなによりも優先して行く
  • 人と知り合う機会のあるイベントに誘われたら、友達との約束よりも優先して行く
  • 自分が今のところどんな仕事ができそうだと考えているのかを言語化しておいて、機会があるたびに伝える

誘われなかったら行かないイベントでも、誘われたら行っておくというのは大事だ。
その人が別の情報を手に入れたときにまた誘ってくれる。
紹介してもらえる相手がどんな相手かわからなくても、イベントがどんなイベントかよくわからなくても、よほどこの手のイベントは自分には無理だ、とか、これカルト団体じゃないの?事件に巻き込まれない?とかの予感がしない限り、とりあえずわんこのように「行きます!」といいお返事をしておくといい。
出会いは基本数撃ちゃ当たる戦法、行ってみて特に収穫がなかったとしても、何回か行ってそのうち一回収穫があればいい。
収穫がないことはプラスではないとしても、特にマイナスでもない。
よほど苦痛そうなイベントでない限り、「あなたがオススメしてくれたのなら行きましょう」という義理を果たすためだけでも行く価値がある。
ちなみに私は奨学金方面からグローバル民族衣装のファッションショーのモデルのお誘いを受けたときは流石に断った。

それから、自分がいま何を考えていて、なにについての情報を集めているのかを、今の自分にわかっている範囲でいいから伝えておくと、相手から誘われるイベントの精度が上がっていく。
これは時間とともに更新されていくものなので、一度伝えたらそれでいいわけではなく、機会があるたびに今最新の自分の考えがどうなっているかを伝えておこう。
逆に言えば一度伝えたらそれを変えられないとかは心配しなくてもいい。
とりあえず、今、社会で働いたこともない社会をよくわかってない自分が等身大に思うこと、で十分だ。
というか就活なんてそれ以外の基準で決めようがない。

企業の個別のイベントについては地道にそうやって情報を集める必要があるけど、比較的多くの企業が提供してくれているイベントに、インターンと各種コンテストがある。
会社説明会やワンデイインターンもある種のコネ作りだとおもうけど、そういうイベントほど「表向きの顔」色が強くなって、こちらも「タテマエ」を用意することが求められる、息苦しい就活っぽくなってくるので就活が苦手な人にはオススメしない。

インターンの場合、できたらワンデイインターンではなく、長いやつ。
できたら、他のインターン生と一緒に受けるやつではなく、インターン一人一人バラバラなチームに配属になるやつ。
そして、できたら通年募集で期間の融通がきくやつ、がいい。
そこで社内の人と知り合って、身内になってしまえば、内々定が出る場合もあるし、そうでなくともその会社とは気楽な距離感になる。

コンテストに関しては、企業も基本的には初心者でも参加人数が多ければ多いほど嬉しいはず。
バリバリの経験者じゃなくても、初心者なりに頑張りました、というのを、「将来有望」「伸びしろがある」とみてくれることも多いだろう。
確かに、ものによっては競技プログラミングのコンテストなんかだと本当にデキるやつを探しているタイプのコンテストもあるだろうけど、そうでないものもある。
内容も企画系のコンテスト、プレゼン系のコンテストなどなどいろいろあるし、女性向けのものもある。
自分の興味の持てるもの、これならできそうって思うものを探して参加してみるといい。
コンテストに目星はつけたけど、どうしても勇気がなくて尻込みをしてしまうようなら、コンテストの問い合わせ先に連絡をして、心配していることをそのまま聞いてしまうのがいい。
大抵の場合は企業側にとっても不要な心配で参加を諦められてしまうのは損失なので、心配を取り除くために丁寧に対応してくれる。

Google STEP インターンまとめ

Googleインターンに行って来ました。
楽しかった。

コンフィデンスの都合上業務内容等については書けないので、採用システムや設備について紹介しようと思います。

Googleは、「Googleの財産は人材がすべて」という信念で、エンジニアを非常に大切にしている。
Vokersの働きやすい企業ランキングでずっと一位を守り続けているだけあって、設備についても制度についても、かいけつできる本質的でない問題で貴重な人材が辞めてしまうことないよう、それはそれは細かなところまで気を配ってくれている。
出産、子育て休暇、病気での長期入院、アレルギーや宗教にも対応した無料で美味しい社食、カスタマイズ性の高いデスク、それはもう宝物のように、自分でさえ気付いていなかったようなストレスまで取り除いてくれる。

それと同時に、採用にも非常にお金と時間をかけている。
優秀な人材を見つけ、Googleに興味をもってもらうこと(リーチアウトと呼ばれていた)も力を入れている。
びっくりするほど積極的で、私のお父さんなんかは「血眼になって探している」と表現していたけど、あながち間違いでもないと思う。
女性や身体障害者などのマイノリティへのリーチアウトは特に重視されていて、女子高生にオフィスツアーを提供するMind the Gapプログラムなど様々な活動が行われている。

私が今回参加したSTEPプログラムもマイノリティへのリーチアウトを目的とした活動のひとつで、学部生の女性と身体障害者を対象にした教育コースとインターンコースの二段組のプログラムだ。
STEPプログラムのインターンは通常のインターンとは区別されていて、SWEインターン(ソフトウェアエンジニアインターン)と呼ばれる通常のインターンの期間が三ヶ月が目安なのに対して、STEPインターンは二ヶ月と学部生が長期休暇を利用して参加しやすいよう短くなっている。
教育プログラムに参加した人は、STEPインターンを希望する場合面接を受ける。
そこで、インターンに参加してもお互い実りのある経験にできるだけの能力があると判断されて、受け入れてくれるホストも決まればSTEPインターンに参加することになり、そうでない場合は今回は見送り。
まだ学部生であれば、来年もう一度面接を受け直して挑戦することもできる。

GoogleはSWEインターンやフルタイムの採用の基準はマイノリティだからといって下げたりはしないと明言していて、STEPインターン卒業生がSWEインターンに応募した場合も通常のSWEインターンと同じ基準で選考される。
そして同様に、基準を越えていてホストマッチングできればSWEインターンに参加し、そうでなければまた来年応募することになる。

採用のプロセスが規格化されていないため複雑だけど、基本的になにかをしたからなにかができなくなる、ということはない。
例えば、学部三年生が、STEPインターンに行ったから次はSWEインターンに応募しなければならず次の年四年になったときに新卒に応募できないとか、一度STEPインターンを受けて落ちたからもうSTEPインターンには応募できないとか、そういう理不尽なことは起こらない。
逆に、なにかをしたからなにかができるようになる、ということもないのだと思う。
STEP教育プログラムを受けずにSTEPインターンにいきなり応募することもできた気がするし。
インターンに参加すると、「時間をかけて正確に能力を判断してもらえる」というメリットはあるけど、それで応募できなかったものに応募できるようになるとか、基準が下がるとかいうことは起こらない。

あと、インターン中に周囲から評価されるプレッシャーを受けるか、という心配については、少なくとも私はあまり気にならなかった。
もちろん、実際には評価されているわけだけれども、ホストはこちらが傷つくような攻撃的なフィードバックはしない。
なぜなら、こちらもホストのホストとしてのクオリティをフィードバックしているので、傷つくようなことを言ったらホストがGoogleに怒られるのだ。
Googleは、お互いに評価しあい、お互いそれを糧として真摯に受け止めるという文化を築こうとしていて、そのために、落ち着いてストレスなくフィードバックを受け止められるように、怯えたり傷ついたりしなくて済むように周りがサポートする文化がある。

Googleの設備については、実際に行って見てみるのがいいと思う。
お菓子やコーヒーサーバーが食べ放題使い放題のマイクロキッチンとか、ジム、音楽ルーム、数々の愉快でファンシーなデザインの会議室などなど、ありすぎてなにがなんだかよくわからない充実した設備がある。
ゲームルームとかいう、ボードゲームからスプラトゥーンからDDRから置いてある部屋とかもある。
二ヶ月いたけど未だに広すぎて設備を把握できてない。 オススメはお金を入れなくても飲み物が出てくる自販機。
当然いつでも誰でも入れるわけではないけど、オフィスツアーをする手段は多分たくさんある。
GoogleのファンをGoogleは大切にするので、見てみたいという人はなにかしらGoogleとコンタクトをとって相談してみたらいいと思う。

アカデミアにいながら民間に行きたいと望むという困難

学務に、私を応援してくれる人がいる。
インターンやら留学やらに私はよく行くので、そのたびになにかと学部学務にはお世話になっている。
だから、私が海外志向であることも、おそらくは外資系希望であることもバレバレなのだと思う。
その私の、夢と呼ぶほどでもない夢を応援してくれて、それを伝えてくれた人がいた。
伝えてもらったときそのときは、こういう人もいるんだなあ、程度にしか思わなかったのだけれど、構内ですれ違って挨拶してくれたときに、この人がいてくれてよかったとほっとしたのを自覚した、という話。

あまり自覚はしていなかったけど、私は大学に行くたびにどこかで「私はここを裏切ることになる、いつかは敵になるのだ」と身構えていたのかもしれない。
私のお父さんは国立大学に勤めていて、国立大学には偏差値や給与には代えられない品格、名誉があると信じている。
倫理観のしっかりした人なので、学生の指導をするときにこの価値観を押し付けるようなことはしていないと思うけれど、こと実の娘の話となると、格の劣る民間企業には行ってほしくないらしい。
そんな家庭環境で20年以上生きてきたからか、アカデミアの人間の民間に対する軽蔑にはどうにも過敏になってしまうところがある。

今のゼミの先生も、特に民間企業への就職を応援して支援してくれる人ではない。
マスターを卒業したら就職したいと伝えたときはとくに反対もされず、いいですよ、と流されたけれど、負け犬とまで思っていなくとも、民間企業への就職を人生の成功とは間違っても思っていないだろうなとは感じる。
もし私がもっと期待される優秀な学生であれば、いいですよ、とも言われず、もったいないとか言われたのかもしれない。

そんな状況の中で、この学務の人の応援にとても救われた気がしたのだ。
もちろん、親しい友達や彼氏は私の人生の選択を尊重してくれるのだけれど、学部の違う友達が認めてくれても、理学部の校舎が私にとってアウェイでなくなるわけではない。
応援って加減が難しくて、一歩間違うと重荷になる。
私が外資系志望でなくて留学に行くだけの日系企業志望だったりしたらきっと重荷だっただろう。
これから日系企業に志望を変えるようなことがあれば実際重荷になると思う。
ただ今回に関しては間違いなく支えられた。

トビタテの選考のアドバイスに「旗を立てる」という表現があった。
自分がなにをしたいのかを明確に発信し続けていれば、そこには応援してくれる人たちが集まってくれる、と、そういう話だった。
そういう意味では、外資系に行きたいと旗を立てている私を応援してくれる人がいつか現れるのは必然ではあったのかもしれないけど、でもそれが学部の内部で、このタイミングだったことは偶然だ。

実際世の中には、この偶然を拾うことができず、民間に進むことを自分に許せずに圧力に負けてアカデミアに残り続ける人はたくさんいるだろう。
私のように偶然を拾えなかったひとは、支えがないまま一人で圧力と戦わなければならない。
むしろ、ほとんどは、周囲の期待と自分の希望を混同して、圧力に負けて自分を殺しているという自覚すらないかもれないけど。
社員に辞めることを許さない、辞めないように圧力をかける企業というのは無数に存在しているので、特段アカデミア特有の問題というわけでもないけど、それは問題でないことの免罪符にはならない。

企業と違って大学というのは、学生やポスドクたちの生き辛さは組織の業績にフィードバックされにくい。
民間ならもう少し働きやすい職場を作ることで会社も利益が出るという組織にとってのモチベーションがあるわけだけれど、大学にはそのシステムはない。
民間なら、個人と組織はお金を通じて目指すべき在り方をシェアできて、双方の利害が一致するようにお金が整えてくれるわけだけど、大学はそうなってないのだ。
失踪者や自殺者を生み出し続ける大学という組織の体質が改善されるまで、まあまず数年ではきかないだろう。
組織の改善は望めない。
個人個人が強くなるしかない。

私の人生は私ののもので、教授のものでも親のものでもない。
教授の期待、親の期待、それを裏切ったときの現実が待ち構える困難、自分の人生の選択をするときに、そういったローカルな周囲の状況は考慮する必要はない。
自分の人生をどうデザインしたら自分が幸せになれるのか。
それだけに集中して人生を描いていくべきだと思う。

google STEPのresumeの書き方

google STEPに受かりました。
STEPはgoogleが提供している教育コースとインターンシップが一緒になったプログラムです。

公式: careers.google.com

大切なのはこれからだとは思うんで、あんまり合格のためのHow toを偉そうに語るのも柄ではないんですけど、
どうにも、google STEP応募に当たって"resume"の書き方を勘違いしているがゆえに落とされている優秀な人がいるように感じたので、忘れないうちに自分がどう書いたのかをまとめておくことにします。
形式的な部分の齟齬で本来参加できるべき優秀な人が参加できずにマッチングがうまくいかなくなったら、応募者にとってもgoogleにとっても社会にとっても損失でしょう。

まあ、あくまで私はこう書いたよって話しかできないんですけど。

学生向け募集要項

googleが公式で出している学生がインターンシップに応募する際の注意点が以下に書いてあります。

学生向け: Google への応募について - Google 人材募集

要求されているものが、コンビニとかで買えるようないわゆる履歴書のフォーマットではないのはまず間違いないでしょう。
注意点は以下の5項目。

  • 自分のスキルや経験は、応募するインターンシップや職務明細書の内容と合っていますか?
  • これまでに自分が担当、または管理していたプロジェクトについて具体的に説明しましょう(結果がどうなったか、成果をどのように判断したか、など)。
  • ボランティア組織やアルバイトでリーダー的な役割を担ったことがある場合は、そのときのチームの規模や仕事の範囲などを教えてください。
  • GPA(大学での成績)、および関連するスキルや知識を示す学校関連の研究課題または履修科目を記入します。
  • 文章は簡潔にまとめ、全体で 1 ページに収まるようにします。採用過程で追加の情報(ポートフォリオなど)が必要になった場合は採用担当者からご連絡しますので、ご提出をお願いします。

5つめの全体で1ページという制約は形式的でわかりやすいですね。

STEPの職務明細書の要件

1つめの「職務明細書の内容」は、STEPの場合は冒頭で紹介した人材募集のページの「資格」の項目に書かれているものが該当するでしょう。

Minimum qualifications:

  • Must be currently enrolled in a 4-year BA/BS program, majoring, or intending to major, in Computer Science or related technical fields at a university in the same country/region of the session to which you are applying.
  • Have taken at least one Computer Science course by the time of application.
  • Have authorization to work in Japan.

Preferred qualifications:

コンピューターサイエンス(計算機科学)に関連する分野が専攻で、少なくともひとつのコンピューターサイエンスの授業を履修し終えていることと、JavaPython、C、C++のどれかの経験があること、と書いてあります。
コンピューターサイエンスとこれらの言語に関係するスキル、経験をアピールしていけばよいと思います。
あんまり日本では「コンピューターサイエンス」という分野分けをしないので、なにがコンピューターサイエンスなのかわからないかもしれませんが、グラフ理論、計算理論(計算量)、セキュリティの暗号等の分野、符号理論等が該当するでしょう。
P=NP問題の話とか、二分木はlogNのオーダーでなんとかとかを授業で聞いた覚えがある!という人は、その授業を「履修したコンピューターサイエンスの授業」としていいのではないでしょうか。

"resume"に入れるべき要素

先に上げた五項目の注意点では、内容としてはスキル、経験、大学の成績の3つが必要だと書かれています。

スキルは関連する資格や検定の成績、あとはプログラミングであれば経験年数や簡単な作品紹介等を書けばいいでしょう。
経験は、担当していたプロジェクトとリーダー経験について書けと書かれています。
私はリーダー経験については1ページに収まるよう取捨選択した結果、あまりSTEPの要求するものと方向性が合わないと判断んして、言及しませんでした。
私の場合は、過去のインターンシップ経験と留学経験を合わせて3つ書き、それぞれの経験について、プロジェクトの概要、自分の担当した部分、プロジェクトの成果の程度を示す客観的な根拠の3つを書きました。
別にチーム開発やインターンシップに限らずとも、個人開発のソフトウェア等があればそれを書いてもいいのではないかと思います。
大学の成績については、全体のGPAと関連科目の成績、後は関連科目で学んだことの具体的な内容を書きました。

"resume"ファイルテンプレート

"resume"ファイルを作るソフトですが、Wordで作っても、なんならパワーポイントとかで作ってもいいのではないかとは思います。
私はlatexで作りました。
以下のサイトにアメリカの職に応募する際のresumeのlatexテンプレートがあり、とても便利です。
私は文字量がたくさん入りそうな5番を元に自分でいじって利用しました。
正直フォントとかめちゃくちゃ読みづらいのでは、とは心配しながら出しました。
読みづらくてもきちんを目を通して内容を理解してくださったgoogle人事の方、ありがとうございます。

https://www.rpi.edu/dept/arc/training/latex/resumes/

自然言語

ちなみに、私は英語で書きました。
よっぽど支離滅裂な文章になってしまって、これじゃ伝わるものも伝わらない!とかいうレベルでなければ、多少文法が怪しかろうが単語の選択が怪しかろうが、英語で書いた方が無難なのではないかと思います。
でも日本語で書いたら即アウトなんてこともないと思うので、出さないぐらいなら日本語ででも出してみる価値もあると思います。

まとめ

どうでしょう。
書けそうな気がしてきましたでしょうか?
挑戦はするだけならタダだし、応募してなければ受かることはありえません。
これを読んでくれた人の挑戦を後押しできたら幸いです。

以下の記事もこの記事と似たような内容を扱っているので参考になるかもしれません。
私はカバーレターは書きませんでしたが……。

careerpark.jp

2020/7/2 追記 いろいろあって現在私はGoogleで勤務しています。 年々STEPの基準は変わっているようです。 内部にいるからといって教えてもらえるわけではないので、現在はこの情報がどこまで指標になるのかわかりません。 それでも、毎年何人かから、この記事のおかげで応募する勇気が出ました、と連絡をもらいます。 すごく嬉しいです。 基準が変わろうとも、出さなきゃ受からないというのは普遍の真理なので、情報が古くて不正確もこの生地が存在する価値はあるかな、と思います。 何が正解かはわかりませんが、この記事があなたの挑戦を後押しするよう祈っています。

面接と見た目と

春休みのインターンシップに応募し、面接を受けてみて、最近気が付いたことがある。
もしかして、面接において、見た目って影響してくるのでは?
ということだ。
人によっては、何をいまさらと思うかもしれない。
そう、私は、ついこの間まで、IT系の面接であれば、話したことの内容だけですべて判断されると、なんとなく思っていたのだ。
そして、多分、同じように思っている人は他にもいるのではないかと思う。
だから、今回は、そういう仲間に向けて、「大変だよ!意外と話の中身以外も重要かもしれないんだよ!」という話をしたいと思う。

考えはじめたきっかけは、エプソンの面接にて、
「髪切っちゃったんですね。送っていただいた写真と印象変わりますね」
と言われたことだった。
特段深い意味のない雑談だったと思うのだけれど、「切っちゃった」と言われたのが、切らない方がよかったってこと?と、なんだかひっかかっていた。
私は自分の見え方に無頓着なので、印象違う、と言われても、え?違うの?としか思えないのだけれど、せっかくだから送った写真とエプソンに行ったときの髪型の再現を載せておこう。

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こうして見比べてもやっぱり印象が違うのかどうかよくわからないのだけれど、多分違うのだろう。
少なくとも髪型が違うのはわかる。うん。

髪型が理由かどうかはわからないが(多分違う)、結局エプソンには落ち、ソニーの面接を受けるときには、反省を活かして髪型を変えて臨んだ。

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髪型を変えたおかげかはわからないが(多分違う)、ソニーに受かって先日のソニーインターンの話に繋がる、というわけ。

それから、インターンの面接以外にも、もうひとつ、もしかして見た目って面接の合否に関係してくるのかなあ?と思った話がある。
勝手に話に出して申し訳ないのだが、私の友達(現在大学4年)に、一年間就活に苦労していた人がいる。
彼女の談によると、書類はパスするが面接で落ちてしまうとのことだった。
結局はどうにか就職先は見つけたようだけれど、なかなかに苦労したようだった。
先日二人でごはんに行った際、「あまりにも恋愛しないので、親に結婚できないだろうと心配されている」と相談にのっていたときのこと、
メイクの話題になり、彼女に、その眉は手を入れているの?と聞かれた。
特に何も考えずに「毎日ってわけじゃないけど、面接の前とかには」と答えてから、はっと、そうか、彼女は面接の前だろうと眉は整えないのか、と思った。
それで面接の結果が変わるとは断言できないし、むしろ他の要素も絶対に影響しているとは思うのだが、逆に、眉を整えているかいないかが面接の結果に影響していないとも断言できない、と思った。

書類は通るが面接で落ちる人は、よく、「優秀だし学歴も申し分ないのだが、コミュニケーション能力がないとどうしようもない」と言われたりする。
果たして、彼女はコミュニケーション能力は低いのだろうか?
少なくとも私と話しているときの彼女は決して意思疎通の取れない人ではなく、むしろしっかり私の話を聞き、同時に自分の主張を自分の言葉で伝えてくれる人であって、私の基準では「コミュニケーション能力が低い」人には含まれない。
私は彼女の面接を見てはいないので、面接中は緊張などでだんまりになってしまっていた可能性は否定できない。
しかし、最終的に受かった企業の際の面接では担当者と雑談で盛り上がったらしいし、それを考えても、多少緊張はしても、ある程度はいつも通り話せていたのではないかと思う。
ろくに言葉を発せないとか、説明が省かれすぎていて、何を言っているのかさっぱりわからないとか、もっと致命的にコミュニケーション能力が低い人たちを私は見てきている。
おそらく、単純に言葉で意思疎通ができるかどうかで言ったら、むしろ彼女はかなりその能力は高い部類なのではないかと思う。

私が推測するに、「優秀だし学歴も申し分ないのだが、コミュニケーション能力がない」と言われるときの「コミュニケーション能力」というのは、私の思う「相手の発言を理解し、自分の考えを言語化して伝える能力」いわば、「言語的意思疎通能力」とは異なるものなのではないだろうか。
もしくは、異なるとまでは言わずとも、それ以外のものも含む、といったところかもしれない。
もっと具体的に言ってしまえば、清潔感のある髪型や服装、発言の内容に適した表情や姿勢、話す速さと音量。
別の言い換え方をすれば、身だしなみとか、見た目、形式的な部分、非言語的な表現。
それらを指して、「コミュニケーション能力」と呼んでいるのではないだろうか。
いや、私の考え方からしてみれば、それのどこが「コミュニケーション」なんじゃい、と、それらは意思疎通ではなかろう、と思うのだが、
きっと、人によっては、それらの形式的な部分を用いてコミュニケーションを取るのだ。
身だしなみに気を配った清潔な恰好は、あなたを歓迎したい、友好的な関係を築きたいというメッセージ。
表情は、伝えたいものを視覚的にわかりやすく伝える手段。
話す速さを音量は、相手に発言の内容をわかりやすく訴えるインターフェース。
多分、そういうことなのではないだろうか。

言葉でコミュニケーションを取る人間にとって、これらの非言語的な部分で相手からのメッセージを受け取り、自分からも発信するのは難しい。
そもそも見えてないのだから、どうしようもないといえばどうしようもない。
最初から見えている人たちほど完璧にこなすのはおそらく一生かかっても無理だろう。
しかし、それでも、面接のときは髪をしばろう、眉が隠れない髪型にしようとか、眉を整え、アイブロウをひいていこうとかであればできるだろうし、
効果の程度の保証はないものの、それはきっとしておいて損にはならないだろう。
男性の場合は、髪を短めにすることがそれに該当するのだろうか。

書いていてなんだか、人間って非合理的だなあ、と虚しい気持ちにはなるのだが、文句を言っていても面接に落ちるものは落ちるのだから、
インターンシップに行きたかったら、あるいは職を得たかったら、非合理的なものに思えても相手の基準に自分を合わせるしかないのだ。

ソニーインターン行って来ました

お久しぶりです。
2/13から3/3にかけての三週間、ソニーインターンに行っていました。
今日はその報告です。
といっても、王手企業だけあって、公開していい情報はほとんどないんだけど。

全体を総括すると、私にとってはとても快適で過ごしやすいインターンシップだった。
インターンシップ自体の感想はまたあとで詳細に書くとして、まあまずは時系列順に、応募・選考の話からしようと思う。

基本的にはエントリーシートを出して、面接をする、よくある形。
特徴的なのは、部署ごとの独立性が高く、各部署との面接を個別に行うところ。
これは私の推測なんだけど、書類審査をパスできるかどうかも、ひとつでもこちらのエントリーシートを見て面接したいと思ってくれる部署があるかどうか、という基準なのかもしれない。
そのぐらい、人事主導ではなく、各部署の希望を尊重する雰囲気だった。
面接も含め、終始、各部署と縁があるかどうかで完結している、というのは、私にとってはわかりやすくていい。

面接も人事の立ち会いのもと、主に各部署の技術者と応募者の二人の面談という形で行う。
応募の段階では、様々なコースから希望のものを選択するんだけど、希望の方向性の参考にする、という程度で、実際入ったあとコース名を聞くことはなかった。
私が希望したコースは「商品/サービス開発・設計(ソフトウェア)【BtoBビジネス】」(コースの詳細は以下)で、実際に配属されたのは、低レイヤーの開発だった。
https://www.sony.co.jp/united/curiosity-lab/internship/engineer.html

さて、実際のインターンシップなんだけど、とにかく余計なことに煩わされることなく業務に集中することができた。
インドのインターンシップはまあなかなかに苦労することが多くて、それもそれで勉強にはなったのだけれど、今回はその点は真逆で、人間関係でも、必要な機材や権限、情報でも、生活環境でも、ストレスというほどのストレスはまったくなかった。
わからないことがあれば質問すればその場で丁寧に教えてもらえるし、必要なものがあればチューターさんに報告するとすぐに手に入る。
社食は味も値段も栄養バランスもレパートリーも文句なしで、昼と夜は特に悩むことなくとにかく社食に行けば済む。
服装も特に規定はなく、私はジーパンとか、ブーツとかを着て、ときにはぬいぐるみを連れて通っていた。
こんなに甘やかされていいのかと不安になるぐらい、非常に快適で生産的な三週間だった。

私自身のインターンシップは上記のような感じだったけれども、インターンたちはそれぞれ異なる部署に行っていて、またそれぞれ異なる感想を持っただろうと思う。
他のインターン生や社員さんの様子を見ていると、どうやら、

  • 役職ではなくさん付けで呼び合う上下関係の緩い雰囲気
  • 服装等の自由さ
  • 自分の挑戦したいことを尊重し、応援してもらえる風土
  • 自分の予定に会わせた休暇のとりやすさ
  • 各部署の独立性

ソニー全体に共通する雰囲気であるようだった。
私は常に自分の意見がはっきりしているので、それを尊重してもらえるのはとても快適だと感じたけれど、向き不向きはあるかもしれない。
休暇のとりやすさは流石大企業、という企業としての体力の高さを感じたし、個々の意思を尊重してもらえる点には、逆に大企業でもそんな企業もあるんだな、という新たな発見だった。

特にソニーに入れ込んでインターン先を選んだわけではなかったのだけれど、こうして振り返ってみると、結果的にとても自分に合う企業に行かせてもらえたなという印象がある。
もちろん他の日本企業のインターンシップは行ったことないので、根拠はないんだけれど、なんとなく他の企業だったらもっと苦労していたのではないかという気がする。

これを読んで、自分にもソニーは合うなと思った人、合わないかもと思った人、色々いると思うけど、これからのインターンを考えている人たちの参考になれば幸いです。

コムチュアさん見学の話

私は就職する気もないのに、インターンシップには行ってみたいという理由でキャリタスとキャリフルに登録している、企業やキャリタス、キャリフル側からしたら非常に迷惑な存在なのだが、先日、キャリフル経由でこんなメールが届いた。

当社はソフトウェア開発をしております創業31年目の独立系SIerです。 創立以来黒字経営を維持している東証1部上場企業ですが、まだまだ成長し続けています。 現状に満足することは決してなく、常に改善できることがないかを模索し、 小さなことから一つずつ真剣に取り組んでいます。 「次の10年間で、今の10倍の企業になる」が当社の次の目標です。

さて、小林さんのプロフィールを拝見させていただきました。 「なぜそうなるのか」の原因を見つけ出し、チームで課題に取り組みたい という小林さんに、是非当社を知っていただきたいと思い、ご連絡させて頂きました。

(中略)

★また、既に応用情報技術者まで取得している小林さんには OB訪問や執行役員との面談に特別ご招待いたします! 小林さんからのお返事を心よりお待ちしております!

こんな風に個人宛にメールを送られては、無視するのは心苦しい気がしてくる。
最初は断るつもりで、就職する気はないので、と返信をしたのだけれど、こちらはそれでも構わないので話してみたい、と言う。
コムチュアのHPを見てみると、ITをリードする、と主張していて、業界向けのセミナーなども開催しているらしい。
技術力の高さに興味を惹かれたので、お言葉に甘えて伺ってみることにした。
だって、高度な技術を持っている人にはたとえどんな状況でも会ってみたいと思ってしまうのが、私っていう生き物でしょ。

のだが。
行く、と連絡して早々、早速後悔した。
だって服装がスーツ指定なのだ。
スーツ大嫌いな私は、なんでIT業界を志望するエンジニアの卵にスーツを着せるんだよ、と息巻いて、このままエントリーシートを書かせ、入社させ、ブラックに働かさせて辞めることも許さずに搾り取るつもりなんじゃなかろうか、とか勝手な妄想をしていた。
行くといってしまった以上断れないが、絶対に思惑には乗らずに帰ってやる。
ブラックなのに(確定)技術力が高い手品の仕掛けだけ見抜くために行ってやろうじゃないか。
と、総武線に揺られながら戦場に乗り込む決意をする私。
客観的に見てみると、そこまで嫌なのに断れずに行ってしまってるあたり、いくら意気込んだところで全然戦いに勝てそうにない。

実際のコムチュアさんはまったくそういう悪どい企業ではなかった。
進路相談にのってもらい、コムチュアの理念の話を伺い、「友達に就活してるひとがいたらおすすめしといて」と、「長期インターンシップをするときは連絡するね」と言われて帰って来た。
とても優しい方でした。
疑ってかかっててすみませんでした。

個人的にためになるなあと思ったのは、IT分野で研究を行っている企業の話だ。
友達といい親戚といい、私は技術者と研究者に囲まれているが、私自身もそのどちらからまたはその中間のどこかになるのだろうと思っている。
そんな話をしたら、「ハードウェアだと研究をしてるとこもあるけど、ソフトウェアで研究やってるとこは国内にはあんまりないよ」とのこと。
ハードウェア、というのは具体的にはAppleMicrosoftgoogleなどを含むらしいので、外資は研究をしているが国内企業はしていない、の方が的確な表現なのかもしれない。
この前ディズニーが論文を出したなんて話も聞き齧ったけど、それを鑑みてもそういうことなのだろう。
国内企業で論文を出しているのはNTT Dataや野村総研ぐらいだ、とおっしゃっていた。
そういった国内の王手企業でのソフトウェアの研究は、基礎研究ではなく既存の技術をいかに応用するかの研究だ、とも。
なんかその「研究」は私がやりたい研究とは違う気がする。
やはり私が目指すべき方向は外資系であると再確認。

もうひとつ面白いなと思った話があった。
バグハンティングコンテストの話題を出した時のことだ。
(バグハンティングコンテストについてはこちらを参照)
専門家に頼まずに学生に頼む意図ってなんなんでしょうね、と尋ねたら、プロよりも学生のほうがかえってクオリティが高いことがある、という話をしてくださった。
プロはもらった額以上の仕事はできない。
できないというよりしてはいけない。
単純に言えば額÷時給以上の時間をかけて仕事をしたら赤字だし、30分のマッサージコースの値段で40分マッサージするようなサービスが当たり前になってしまったら、自分の首をどんどん締めることになる。
プロであるということ、仕事というものの本質がお金を手に入れることである以上避けられないことだ。
その点アマチュアはお金のためにやっているわけではないので、時給とか、収支とかには縛られず、時間と好奇心が続く限りどこまでも突き詰めることができる。
これはイラストの世界で聞いていた話だったので、私にはすぐ腑に落ちる話だった。
私のお母さんはプロのイラストレーターで、よくアマチュアはいくらでも時間をかけるから怖い、ときにプロよりすごい仕事をする、と言っていた。
プロがプロであるがゆえに足枷をはめられるというのはなんだか矛盾してるようで面白い。

友達に宣伝しといて、と頼まれたので、義理がたい真面目人間として、コムチュアの紹介もしておこうと思う。
実際よい企業だと感じたし、よい情報は一見自分にメリットがないように見えてもシェアする、というのがこのブログのコンセプトであり私の方針だ。

話を聞いていて、特徴的だと感じたのは、社員を専門家に育てようという意識の強さだ。
ひとつのプロジェクトにおいて、マネジメントからセキュリティから、さまざまな技術が必要とされ、それらの分野のいずれかの専門家になれるように、社員の才能を見極め育てていく、という方針らしい。
マネジメントをひとつの専門家として評価し、専門的な技術を要求している時点で、某自殺者を出した会社とは大違いだ。
プロジェクトは計画通りには進まない、そんなところが仕事は面白いんだ、と笑顔で話されていて、この人、計画通りに進まない困難を乗り越える達成感がほんとに好きなんだなあとほっこりした。
好きなものがある人が好きなものを語る様はそれだけで見ていて幸せになるよね。

技術者にしても企業にしても、インプットとして身に付けるべき技術と、アウトプットして収入に結びつけられる技術は必ずしも一致せず、その両面のバランスを取ることが必要だ、ということも話されていた。
実際、継続的な黒字経営と、AIやIoTなどの流行りもの技術によるビジネスの模索とを両立しているらしい。 また、コンサルティングにも力を入れているのも特徴かもしれない。
企業のビジネスのうちの一部のサービスの開発を任されて満足するのではなく、企業のビジネス全体をIT技術の側面からガイドするような、既存の他のサービスや技術との相性も考慮した提案をすることを重視しているそうだ。
単なる下請けではなく、できるだけ上流側に、下請けの中の一番上流側、ビジネス全体を見渡せる立場に立つ。
そういうの、一次請けと言うんだったか。

専門家に育てる、というのは、企業の中で飼い殺すのとは正反対の立場だ。
入社時点での技術力がなくても向上心さえあればうちで育てる、と言っていたから、技術者のキャリアのステップアップを手助けして送り出している側面すらある気がする。
今回お話ししてくださった人事の方も、「外資に興味がおありなら、外資に転職を目指すための経験を当社はで積んではいかがですか」といった雰囲気があった。
うちは外資にも劣らないと思っているからこそ雰囲気だけで口にはしなかったのだろうけど。

一時期は大企業だけではなく、中小にも優良なところはある、中小に目を向けよう、なんて言われていたけど、実際中小企業の情報は少なくて、優良な中小がどこなのか判断がつけられないがゆえに、大企業志望という人は多いのが未だに実情だろう。
コムチュアさんはそういった優良な中小企業のひとつであると、その中でとくに光るものをもっている会社であると感じた。
ベンチャーと呼べるほど新しくはないけど、雰囲気は滝を登り今まさに龍にならんとしている鯉のそれだと感じた。
なるほど、これからこの鯉が龍になっていく10年間を内部で働きながら間近で見るのはさぞ人生面白かろう。
私が就活とか企業研究とかろくにしてないので、説得力には欠けるかもしれないが、これが私の感じた率直な感想だ。
起業するならこういう企業を目指すべきなのだろうと感じるお手本のような社会に対する適応力、社員とお客さんと会社の三者の利益を最大化して維持していく力を感じた。

最後に、窮屈なスーツと慣れない靴を履かされた恨みを込めて、「なんでスーツ指定だったんですか?」と聞いてみたら、「就活の練習になるかと思って」と言われた。
なるほど、おそらくコムチュアさんにとって既にスーツが嫌いな技術者になっている限られた学生は想定外なのだろう。
学生に技術力まで要求していたら誰も採用できなくなってしまうから、だから就職イベントは技術者ではない普通の学生向けに開くのだろう。
コムチュアさんからしたら、そんなにスーツが嫌いだったとは、ごめんね、ってとこかもしれない。